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法務情報(令和元年度 版)

第1回 民法相続編の大幅改正

1.相続法はこう変わる

平成30年7月に、民法の相続編(相続法と略称します)の大改正が行われました。
前回、相続に関わる留意事項(平成27年当時)を纏めましたが、今回相続法全体に、時代に即して大幅な改正が行われました。
以下に今回の改正の概要を記載します。実際にはいくつかの段階に分けて順次施行されることになりますので、まずは改正の項目と施行のスケジュールを予め説明します。

平成31年1月3日施行
自筆証書遺言の財産目録作製の緩和
令和元年7月1日施行
相続の効力等に関する見直し(新相続法§899の2)
持戻し免除の意思表示の推定(同§903④)
遺産分割前の払い戻し制度の導入(同§909の2)
遺言執行者の権限の明確化(同§1007,1012~1016)
遺留分制度の見直し(同§1042~1049)
相続人以外の者の特別の寄与制度創設(同§1050)
同2年4月1日施行
配偶者の居住権と短期居住権の新設(同§1028~1036、1037~1041)
同2年7月10日施行
法務局による自筆証書遺言の保管制度の新設(遺言書保管法)
2.相続法改正の概要

新たな制度設定と言う点から、改正内容を検討してみましょう。

配偶者の居住権を確保する対策の新設
①配偶者の短期居住権の新設(新相続法§1037~1041)
配偶者が相続開始時に遺産に属する建物に居住していたときは、遺産分割が終了するまでの間、引き続き居住(無償)することが出来る。
②配偶者居住権(長期の居住権)の新設
遺された配偶者に、居住建物を継続使用(終身又は一定期間)出来る法定の権利(配偶者居住権)を新設し、必要に応じて遺産分割の方法の一つとして選択できるようにした。
相続、遺産分割等に関する制度の見直し
①持ち戻し免除の意思表示の推定規定(新相続法§903④)
婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産の贈与又は遺贈がなされたときは、持ち戻しの意思表示があった者と推定することとして、相続人の意思を尊重し、配偶者を保護する方策とした。
②遺産分割前に遺産を処分した場合の遺産の範囲(同§906の2)
相続開始後、相続人の1人が遺産を処分したときに、不公平を是正する方策を設けた
③遺産分割前の払い戻し制度の新設(同§909の2)
遺産となた預貯金について、生活費や葬儀費用、相続債務の支払などの資金需要に対処するため、遺産分割前に一定の範囲で払い戻しが受けられる制度を新設した
④相続の効力等に関する見直し(同§899の2)
これまで遺言等で承継された遺産は、登記などの対抗要件なく第三者に対抗することが出来るとされていましたが、法定相続分を超える承継は、対抗要件を備えなければ第三者に対抗出来なくなります(新相続法§899の2
遺言制度に関する見直し
①自筆正保遺言の方式の一部緩和(新相続法§968)
自筆証書遺言に自筆でない財産目録(パソコンのプリント)を添付することが認められた。
②遺言執行者の権限の明確化(同§1007、1012~1016)
③法務局における自筆証書遺言の保管制度の新設(遺言保管法の制定)
遺留分に関する見直し(新相続法§1042~1049)
これまでは遺留分減殺請求権の行使により、当然に物件的効果が生じるとされていたものを、遺留分侵害に相当する金銭債権(遺留分侵害額請求権)が発生するものとしたこと、ならびに受遺者等の請求時より金銭債務の支払いに月、全部又は一部につき裁判所が起源を付与することが出来ることとした。
相続人以外の者の寄与を考慮する制度の新設(新相続法§1050)
相続人以外の被相続人の親族が、被相続人の療養看護等などを行ったときは、一定の要件下で相続人に対して金銭請求をすることが出来る制度を新設した。

第2回 民法改正 その2 <成人年齢の引き下げ>

1.概要

既にご案内のように、公職選挙法の改正に伴い、平成28年6月から選挙権が20才から18歳に引き下げられましたが、これを契機に民法その他の法律についても、改正の検討がなされてきました。そして、先般平成30年6月の民法一部改正により、令和4年(2022年)4月から、民法における成年年齢が、それまでの20歳から18才に引き下げられます。
その結果、18歳になると、親の同意なしに法律行為(契約などの取引)をすることが出来るようになり、自動車やマンションを購入したり、カード利用、ローンの借入れなども自分の判断で行うことが出来るなど、社会的、経済的な役割を担うことが期待されています。
反面、経験や知識不足などから、悪徳商法や消費者被害などに巻き込まれるリスクが懸念されるので、被害に遭わないよう学校教育や社会教育の場面での学習やトレーニングなどの対策も同時に求められることになるでしょう。

2.改正条文

§4   18歳を持って青年とすること
§731 婚姻年齢は一律18歳(男女とも)

3.その他の法律関係

未成年は喫煙禁止法、競馬法などについては、原稿の20歳が維持されています。
少年法の適用年齢に関しては、今後引き続き検討がなされると考えられます

第3回 民法債権法の大改正

1.概要

現行民法は、明治29年に制定されてから120年間、債権法の部門では大きな改正がなされないまま、判例や解釈の積み重ねで対応して来たものの、その間の時代や社会・経済の変化に即した見直しと、実務として一般化した基本的なルールを判りやすい内容に明文化する必要から、かねてより全面的な改正が検討されてきた結果、平成29年5月に民法の一部改正法が成立した(施行は、令和2年4月1日)。 改正の対象となった条文は約340余とされ、その内容や項目は多岐に亘るので、詳細は文献に当たっていただきたいが、ご参考に日常の実務に関係する重要な改正点やポイントを抽出したい。

概ね条文の順序に従って、以下の項目を取り上げる。
*消滅時効の見直し
*法定利率の改正
*保証の見直し
*定型約款債務不履行と損害賠償
*その他

2.消滅時効の改正
原則的な時効期間と起算点を改正
従来は、権利行使が可能となったとき(客観的起算点)から10年と定められているのを、これに加えて債権者が権利行使出来ることを知った時から5年(主観的起算点)のいずれか早い方の時点で時効成立とする。
通常の取引で主観的起算点は明かな場合が殆どであるから、結局時効成立迄の機関が短縮されることになる。
これに付随して、従前あった種類別の短期消滅時効は廃止されます。また、商事債権に関する消滅時効も今後民法の定めと一律になることから、商法§522の消滅時効(5年)の条項は削除となる。
時効の完成を妨げる事由の再構成
従前の時効の完成を妨げる場合として時効の停止と時効の中断という用語や概念がわかりにくいことから、それぞれ時効の完成猶予と時効の更新という用語と制度に改めました。
その他
②の再編に伴い、何が時効の更新事由や完成猶予事由になるかも、整理・再編されました。
3.法定利率の改定

利息債権、損害金の法定利率は、現行民法では5%(民事法定利率)、商法では6%(商事法定利率)とされているが、民法の改正により一律3%に引き下げられる(商事法定利率は廃止)。
今後は3年ごとに経済変動に応じて1%単位で減・加算する変動性が導入される。

4.保証規定の改正
個人根保証契約の規制
個人が根保証(不特定の債務の保証)については、極度額(保証の限度額)を定めないと保証契約は無効となる。
注意すべきは、例えば不動産賃貸借契約の借主の賃料債務を連帯保証する様な場合、保証すべき債務の極度額を定めないと保証契約は無効となる。
保証人保護の拡充
会社経営者が個人保証をする様な場合を除き、事業用の債務の個人保証にあっては、保証契約前1ヶ月いないに、公正証書による保証債務履行意思の確認手続きが必要とされる。
また主債務者が事業用債務の個人保証を委託する場合、保証人に対し、保証契約締結時及びその後も一定の情報提供義務が生じ、これに反したときは、保証人は保証契約を取り消すことが出来る。
従ってこの点の遺漏がないか、債権者も確認する必要が生じます。
5.定型約款の規定を新設
定型約款の定義
不特定多数との取引に約款が用いられているにもかかわらず、民法には規定がなかったことから、約款の規定が新設された。
不特定多数を相手としてなされる取引で、内容が画一的であり、そのことが双方にとって合理邸なものを定型約款と定義し、定型取引における契約内容とする場合の規制を設けた。
例えば、生命保険や損害保険の約款、旅行業や宿泊約款、運送約款等はその典型である。
定型約款による拘束の要件
定型約款を契約内容とする合意、もしくは予め定型約款を契約内容とする旨が表示されていたこと、但し相手方の利益を一方的に害する場合は除外される。
その他
定型約款の内容表示義務、定型約款の変更の場合の要件などが定められた。
6.その他

債権譲渡に関する規定の新設、債務不履行屋履行不能と損害賠償請求の規定、契約の解除、危険負担と瑕疵担保責任など、実務上重要な事項や論点について、これまでの裁判例や学説などの判断や解釈を明文化したり、一般化して整理していますが、紙幅の都合で個々の改正点については、ぜひ解説書等をご参照下さい。

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